【初心者向け】S&P500は最強である理由をわかりやすく解説

資産運用をしている方の多くが米国株投資に関心があると思います。



そしてそのほとんどの人が『 S&P500 』という言葉を耳にしています。



私が使っている楽天証券の人気ランキングでは毎年堂々の1位を獲得しているほど人気です。



また投資の神様であるウォーレン・バフェットは以下のような遺言を残しているという話は有名です。

私の死後は資産の9割をS&P500に、1割を米国の国債で運用しなさい」




S&P500は圧倒的な人気がある一方で、意外とその中身について知っている人は少ないです。



中身を知っている人と知らないで投資している人では当然ですが、投資家としての実力に差がつきます。



そして日々の株価に振り回されず、腰を据えた長期投資ができるようになります。



なんとなくS&P500に投資しているなんちゃって投資家と差をつけましょう!



この記事からはS&P500に関する以下を学んで頂きます。

①S&P500とは
②知っておきたい特徴6選
③S&P500がずっと大人気の理由
④S&P500のお薦め投資信託とETF

S&P500とは

「S&P500(えすあんどぴーごひゃく)」は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス※1が算出している株価指数です。

                                ※1 株式市場の指数やレポートを作っている会社。

ニューヨーク証券取引所とナスダックに上場している銘柄から選んだ、アメリカを代表する500銘柄で構成されています。



S&P500の起源は1923年です。


1957年から現在の形で算出が開始されています。


ちなみに、S&P500の「S&P」は、「Standard&Poor’s(スタンダード・プアーズ)」の頭文字を取っていて、プアーという名前は創業に関わった人からきています。



更に、Standard&Poor’は当時の会社名で現在は現在はS&P Global(S&Pグローバル)という社名になっています。



興味深いことに、S&Pグローバル社自身もS&P500を構成する優良企業の1つなのです。

知っておきたいS&P500のポイント6選

ポイント①:構成銘柄上位はGAFAM

まずは、S&P500を構成している企業を確認しましょう。



GAFAMとは、
・Google
・Amazon、
・Facebook(現META)
・Apple
・Microsoft
の頭文字を取った略語で、アメリカ合衆国の大手テクノロジー企業を指します。


S&P500に最も多く含まれている銘柄TOP10とその比率は、以下の通りです。(2023年6月時点)

銘柄構成比率
アップル            7.50 %
マイクロソフト            6.96 %
アマゾン・ドットコム            3.06 %
エヌビディア            2.65 %
アルファベット クラスA(Google)            2.08 %
アルファベット クラスC(Google)            1.82 %
メタ・プラットフォームズ            1.68 %
バークシャー・ハサウェイ            1.65 %
テスラ            1.56 %
ユナイテッドヘルス・グループ            1.30 %

実は、S&P500は500社へ均等に投資しているわけではありません。



500社に均等に投資するなら1社あたり0.2%ずつになるはずですが、1位のAppleは7.5%です。


また、上位10銘柄はGAFAMが多く、全体の約30%を占めています。



S&P500は、均等加重平均型ではなく「時価総額加重平均型」の指数なので、割合の大きい株価の影響を大きく受けることがポイントです。



つまり、この上位企業の業績が良いほど株価指数も上がりやすいということになります。

ポイント②:時価総額加重型の指数

ポイント①で触れた通り、S&P500は500社に均等に投資する指数ではありません。



例えばAppleには7.5%、Microsoftには6.9%、Amazonには3.0%のように、各銘柄によって投資する割合にばらつきがあります。



つまり、時価総額加重型の指数には、以下のことが言えます。

時価総額加重型の指数

・時価総額が大きい銘柄には、多く投資する。
・時価総額が小さい銘柄には、少なく投資する。

時価総額は、「発行済株式数 × 株価」で計算されます。



つまり時価総額が大きい企業ほど、皆から人気な企業と言えるのです。

ポイント③:厳格な採用基準

皆さんの中には、「人気があればS&P500に選ばれるの?」と疑問を持つ人もいるかもしれません。



そこで、S&P500の採用基準をもう少し具体的に見てみましょう。

S&P500の採用基準

・米国企業であること。
・時価総額が61億ドルを超えること。
・浮動株比率(市場で売買可能な株式)が最低50%あること。
・健全な財務(黒字決算)であること。
・ユニバース全体のセクター構成に等しくなること。

(例えばIT銘柄ばかりに偏らないように米国企業全体のセクター割合と同じになるようS&P銘柄も選抜。)

ちなみに、S&P500の採用基準はある程度公開されていますが、すべてが明かされているわけではありません

ポイント④:現在はIT・ヘルスケア、金融が主力

続いて、S&P500のセクター比率(2023年6月)を見てみましょう。

セクター比率
情報技術(IT)26.15%
コミュニケーション・サービス8.58%
エネルギー4.12%
資本財5.9%
消費財9.7%
素材2.45%
金融10.2%
不動産2.33%
ヘルスケア11.37%
必需品6.36%
公益事業2.61%

まさにハイテク一強ですが、ハイテクが強いのはS&P500の特徴ではなく、米国の産業全体の特徴です。



但し、セクター比率は、時代によって大きく入れ替わります。



エネルギーセクターが大きく目立つ時もあれば、金融セクターが大きく目立つ時もあります。



この「新陳代謝」こそが、S&P500が成長し続けている大きな理由です。



時代によって投資先が入れ替わるので、「S&P500は何に投資しているのか?」という質問には、セクター比率の推移を見ないと答えられません。

各セクターを代表する企業
・情報技術(IT):Apple、Microsoft
・ヘルスケア:Johnson&Johnson、Pfizer
・金融:J.P. Morgan、Bank Of America

ポイント⑤:単位はポイント

日経平均株価の単位は「円」ですが、S&P500の単位は「ポイント」なのです。



皆さんも「S&P500が4,500ポイント突破」といったニュースを見たことがあるでしょう。



S&P500の単位であるポイントは、以下のような仕組みです。

ポイントの仕組み

・1941年~1943年のS&P500構成銘柄株価の平均を、10ポイントとする。
 上記を基準とした増減を、ポイントで表す。

・基準点を決めているので、そこからどのくらいポイントが増減したかを判断できる。

・1940年代に10ポイントだったS&P500は、下のグラフの通り2023年6月では4400ポイントまで上昇し続けています。

ポイント⑥:EPSが右肩上がり

EPSは、1株当たりの利益のことであり、株式投資において非常に重要な指標です。



EPSを見れば企業の収益性が分かるため、伝説の投資家ウォーレン・バフェット氏も重視しています。



では、S&P500のEPS推移を見てみましょう。

上昇と下落を繰り返していますが、長期的には右肩上がりを続けています。



前述のS&P500が右肩上がりになっている背景には、EPSの右肩上がりが関係しています。



つまり、S&P500に含まれる企業が利益を出し続けていると、株価も上がっていくわけです。



ちなみに、

S&P500の新陳代謝

・利益を出せない企業を除外する
・利益を出せる企業を組み入れる


厳格なアメリカでは、戦力外通告で消えていく会社は後を絶ちません。



企業にとっては残酷かもしれませんが、投資家にとってはありがたい仕組みですね。



一方で、他国の指数はこの新陳代謝がうまく機能しないので、「ゾンビ企業が生き残っているからダメだ」と言われてることがあります。

S&P500が人気の理由

1.利回りが高い

S&P500は利回りが高いです。



過去20年の平均年利を見ると、日本株が約3.6%なのに対し、S&P500は約10%を超えています。



過去約20年間のS&P500およびTOPIXにおける勝落率上位5銘柄の時価総額合計の推移は、米国株が約337倍、日本株は約42倍と大きな開きがあります。



また、1994年以降のEPS(1株当たり利益)をみると、TOPIX500構成企業の約4割で前年比減益または赤字となった一方で、S&P500構成企業が前年比減益となった年は約2割に留まっていることも大きな要因でしょう。



運用を検討する上で最も重要な項目である「運用バフォーマンス(年利)」が非常に良いことが、S&P500が人気の理由です。



なお、歴史を見るとS&P500を15年以上持ち続けた場合、いつ買っても最高値を更新しています。



つまり、超手金利である日本の銀行に預けているよりも断然良いと言えるわけです。

2.リーマンショックやコロナからもすぐに回復

過去の株価下落から反発にかけての局面をみると、米国株は日本株と比べて底堅いケースが多いです。



相場下落局面が来ても、比較的すぐに回復するのは米国株投資の大きなメリットでしょう。



例えば2020年のコロナショックです。



S&P500は2020年2月に大きく下げましたが、半年後の2020年8月にはコロナ前水準まで一気に急回復。



翌年の2021年も大きく数値を伸ばし、多くの投資家の資産が増えています。

3.構成銘柄は常に最新の業績で判断される

S&P500の構成銘柄は、常に最新の業績によって入れ替えが行われています。



2020年には電気自動車大手のテスラ(TSLA)がS&P500に採用され、株価を大きく上昇させました。



2021年は、有名な企業だとアドビ(ADBE)が新規で採用されています。



日経平均株価の銘柄はあまりうまく株価上昇に繋がっていませんが、S&P500の場合は株価を入れ替えた後も大きく上昇する傾向にあります。



S&P500に含まれる企業が利益を出し続けている秘密は、やはり「新陳代謝」にあります。



定期的に銘柄を入れ替えることが、結果的にS&P500の株価上昇に寄与しているといえるでしょう。

4.アメリカ経済は今後も右肩成長が期待できる

上記のチャートは、上場している約4,000銘柄の米国企業に分散投資できるETF「VTI」の値動きです。



つまり、アメリカそのものに投資していると言っても過言ではありません。


ずっと株価は右肩上がりなのです。



その理由ですが、まずアメリカは人口ランキング世界第3位の国です。


人口が多いほど経済発展しやすいのは想像つくでしょう。



更に、「ミレニアル世代」(現在10代後半〜30代後半)が過去最大規模の世代となり、今後も所得増加や消費拡大が見込まれています。



2050年くらいまでは、引き続き人口増加が続いていくという予測もあります。



また、米国企業は、日欧企業と比べて株主資本や総資産に対する利益率(ROEとROA)が高い傾向にあります。



ベンチャー企業による資金調達額の6割超をアメリカが占めており、GAFAMをはじめ世界のテクノロジーを牽引する企業が多く集積しています。



アメリカ経済は今後も右肩上がりで上昇していく可能性が高いといえるでしょう。

S&P500に連動した投資信託とETF

投資信託とETFについてそれぞれ2つのお薦め投資先を紹介します。



この2つはプロ投資家も推奨し、多くの人が投資していて長期投資先としては間違いありません。



まずは投資信託から紹介します。

お薦めの投資信託

①SBI・バンガード・S&P500インデックス·ファンド

コストで選ぶなら「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」がおすすめです。



SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドの信託報酬は、0.0938%と格安です。



もし100万円を1年間運用してもかかる手数料はわずか938円です。



S&P500 に連動している投資信託であれば中身のパフォーマンスには差がないため、コストが低いもので運用をするのが合理的といえるでしょう。

②eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

純資産額1位でネットやインフレンサーからでもよく紹介されている人気の銘柄です。



信託報酬は0.0968%と、SBI・バンガード・S&P500インデックス·ファンドの0.0938%より高いですが、ほとんど誤差の範囲になります。



eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は現在進行形で資産が集まっているので、知名度と今後の安定運用が期待できるファンドになっています。



それでは次にETFを紹介します。

S&P500に連動したETF

バンガード・S&P500 ETF(VOO)

VOOは、アメリカを代表する500社の株価を指数化したS&P500に連動するETFです。



純資産額は「約27兆円」です。



ETFは投資信託と違ってリアルタイムに取引ができるため、投資信託ではなくETFでS&P500に投資している方も多いです。

SPDR S&P 500 ETF(SPY)

SPYもS&P500に連動したETFです。



純資産額は42兆円を超えます。



VOOよりも歴史があるため、出来高の大きさ特徴となっています。



S&P500に連動していて、中身はVOOとほとんど変わりません。



運用している会社が違うのと、信託報酬がわずかに違う程度の差なので、どちらに投資しても問題ないです。

まとめ:雰囲気投資から一歩前へ

今回の記事では、以下の4点を解説しました。

①S&P500とは

②S&P500の特徴5選
③S&P500が人気の理由
④S&P500のお薦め投資信託とETF

①S&P500とは

「S&P500(えすあんどぴーごひゃく)」は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出している株価指数でした。



アメリカを代表する500銘柄で構成されています。

②S&P500の特徴6選

構成銘柄上位はGAFAM
 ・2021年4月時点で上位10社で26.3%を構成


2時価総額加重型の指数
 ・人気企業ほどウェイトを占める


3厳格な採用基準
 ・米国企業であること
 ・時価総額が61億ドルを超えること
 ・浮動株比率が最低50%あること
 ・健全な財務(黒字決算)であること
 

4現在はIT・ヘルスケアが主力セクター


5単位はポイント


6EPS(1株当たり利益)が右肩上がり

③S&P500が人気の理由

1.利回りが高い

2.リーマンショックやコロナからもすぐに回復

3.構成銘柄は常に最新の業績で判断される

4.アメリカ経済は今後も右肩成長が期待できる

④お薦め投資信託とETF

投資信託

①SBI・バンガード・S&P500インデックス·ファンド
②eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

ETF

バンガード・S&P500 ETF(VOO)
SPDR S&P 500 ETF(SPY)

S&P500は長期積み立て投資先として素晴らしいです



S&P500は過去100年、3年以上連続でマイナスになったことは3回しかありません。



数多くの戦争や経済危機を乗り越えて、成長し続けてきた実績があります。



S&P500は半値まで暴落しても買い増して良い、数少ない指数だと言えるかもしれません。



特に、長期積み立て投資先としては非常に有用です。



ポイントは最強アメリカの経済を将来も期待できるかとあなたが考えるからです。



投資は早く始めた方がいいのでまだ悩んでいる方はまず少額からで良いのでまずはS&P500に投資してみるもよいと思います。



投資しながら勉強していきましょう。

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